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リポソームとは何か。公的資料で確認できる定義と、確認できないこと

更新: 2026-10-06 / 公的資料をもとに整理しています(出典は記事末尾)

結論:公的資料で言い切れること

リポソームは、厚生労働省の通知「リポソーム製剤の開発に関するガイドライン」(2016年3月28日)で、「両親媒性脂質分子の二分子膜からなる微小胞」と説明されています。内部には水を含む部分(内相)があります。

ただし、この定義が載っている公的な資料は、医薬品(リポソーム製剤)の資料と学術誌だけです。食品を対象にしたリポソームの定義は、今回確認した資料の中にはありませんでした(確認日2026年10月6日)。

このコラムでは、確認できた定義と、確認できなかったことを分けて整理します。

リポソームとは何か

通知の定義を言葉ごとに見る

通知の本文(1.はじめに)と用語集は、リポソームを、脂質の分子が二分子の膜をつくり、その膜で囲まれた小さな袋状のもの、と説明しています。言葉を順に見ると、次のとおりです。

言葉この資料での使われ方
両親媒性脂質分子膜をつくる材料として書かれている脂質の分子
二分子膜脂質の分子が2層に並んだ膜。同じ文書の別の箇所では「脂質二重膜」とも書かれています
微小胞膜で囲まれた小さな袋状の構造
内相(水性画分)袋の内側にある、水を含む部分

通知は、リポソーム製剤を、有効成分(医薬品の主成分)をリポソームの「脂質二分子膜又は内相に封入する」ことでつくるもの、と書いています。定義が指すのは「膜でできた小さな袋」という構造で、何を入れるかは別の話です。

学術誌と補助事業報告書の説明

日本薬学会の「薬学雑誌」128巻2号(2008年)の序文は、リポソームを「リン脂質を主体とする閉鎖小胞」と述べています。通知の「脂質の二分子膜」と同じ方向の説明です。

厚生労働省の補助事業として北海道大学の研究チームがまとめた報告書(2015年3月)にも、ほぼ同じ文言の定義があります。この報告書は、リポソーム製剤を「リポソームに封入した有効成分を含有する医薬品」としています。

公的機関の資料の整理

リポソームという語が出てくる資料と、出てこない資料を並べました。

資料(機関)「リポソーム」の扱い
リポソーム製剤の開発に関するガイドライン(厚生労働省、2016年)本文と用語集で定義。対象は医薬品(リポソーム製剤)
リポソーム製剤の化学、製造、及び品質管理に関する素案(厚生労働省の補助事業の報告書、2015年)用語集で定義。リポソーム製剤は医薬品と説明
薬学雑誌128巻2号(日本薬学会、2008年)序文で「リン脂質を主体とする閉鎖小胞」と説明(学術)
食品表示基準(内閣府令)条文の全文を検索して、「リポソーム」の語は0件
健康食品の素材情報データベース(医薬基盤・健康・栄養研究所)素材一覧のページに「リポソーム」の語は0件

まとめると、定義が書かれているのは医薬品と学術の資料だけで、食品の「リポソーム」を定めた公的資料は確認できませんでした。食品表示基準にも語が出てこないため、「リポソームビタミンC」のような名称にも、公的な定義は確認できていません。確認していないものを「ない」と言い切ることはできませんが、今回の範囲では見つからなかった、という意味です。

なお、食品の表示全般については、健康増進法第65条が、食品として販売する物の広告その他の表示で、内閣府令で定める事項について著しく事実に相違する表示や、著しく人を誤認させる表示をすることを禁じています。リポソームという言葉に限った規定ではありません。

読者が使える見方

「リポソーム」と書かれた食品を見るとき、公的資料の定義から、次のような点を確かめる手がかりが得られます。

通知は、リポソーム製剤で特に考慮すべき品質特性として、粒度分布(粒子の大きさの分布)、形態・構造、表面電荷、膜の熱力学的特性、有効成分の封入率などを挙げています。これは医薬品の開発ガイドラインの項目で、食品を対象にしたものではありません。ただ、資料や説明書きで見かけたときに、言葉の意味を知っておくと読みやすくなります。

成分の表示の見方は、原材料と表示のページにもまとめています。

BIYU Natural VC98について

BIYU Natural VC98の名称は「ビタミンC含有加工食品」で、栄養機能食品ではありません。販売ページでは、リポソーム型、タイムリリース型、ピュアビタミンCの三つの形を重ねた設計と説明し、リポソームを「リン脂質のカプセルで包んだビタミンC」としています。製造者は三生医薬株式会社、販売者は株式会社プロップスジャパンです。

この説明は販売ページの記載です。上で見た厚生労働省や日本薬学会の資料の定義とは別のもので、両者を照らし合わせて確認したものではありません。原材料の全文は原材料と表示に、よくある質問はよくある質問にあります。

よくある質問

リポソームは医薬品だけの言葉ですか。

今回確認できた定義は、厚生労働省の医薬品の資料と、日本薬学会の学術誌のものでした。リポソームを医薬品だけの言葉と定めた資料は、見つかっていません。食品での使われ方を定めた公的資料も、確認できていません。

「リポソームビタミンC」の意味は、公的に決まっていますか。

公的な定義は確認できませんでした。意味を知るには、リポソームの定義(脂質の二分子膜の小胞)と、「ビタミンCを包んだもの」という製品側の説明を、それぞれ確かめて読むことになります。

食品のリポソームと、医薬品のリポソームは同じものですか。

同じとも違うとも、確認できる公的資料はありません。通知の定義は構造についての説明で、食品について述べたものではないため、このコラムでは両者の関係には踏み込みません。

出典一覧

機関名資料名URL確認日
厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課(PMDAサイトで公開)「リポソーム製剤の開発に関するガイドライン」について(薬生審査発0328第19号、2016年3月28日)https://www.pmda.go.jp/files/000213460.pdf2026-10-06
厚生労働省医薬品等審査迅速化事業費補助金 脂質ナノ粒子WG(PMDAサイトで公開)リポソーム製剤の化学、製造、及び品質管理に関する素案(報告書、2015年3月)https://www.pmda.go.jp/files/000208789.pdf2026-10-06
日本薬学会薬学雑誌 128巻2号 185-186頁(2008年)「DDSにおけるリポソーム研究の最前線」序文https://yakushi.pharm.or.jp/FULL_TEXT/128_2/pdf/185.pdf2026-10-06
医薬基盤・健康・栄養研究所健康食品の素材情報データベース 素材一覧https://hfnet.nibn.go.jp/material-infodb/list/2026-10-06
e-Gov法令検索(デジタル庁)食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)https://laws.e-gov.go.jp/law/427M600000020102026-10-06
e-Gov法令検索(デジタル庁)健康増進法 第65条https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC00000001032026-10-06

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